男子第66回大会の記事

鮮やか、世羅旋風

1位でフィニッシュする世羅の新迫選手
1位でフィニッシュする世羅の新迫選手
 驚異的な記録に、男女同時優勝で花を添えた――。
 男女同時優勝は1993年の仙台育英(宮城)以来、史上2校目。優勝タイムは2時間1分18秒で、大会記録・高校国内国際最高記録を樹立。従来の記録は、2004年に仙台育英がマークした2時間1分32秒だった。世羅は2年連続9回目の全国制覇で、優勝回数は西脇工(兵庫)の8回を上回り最多になった。九州学院(熊本)が2位に入り、倉敷(岡山)が3位。

男子レース経過

 7区間中4区間で区間賞を獲得した世羅の圧勝だった。トップと8秒差でたすきを受けた2区の井上が1.3キロ付近で首位に立つと、3区のカマイシ、5区の山口、6区の植村が区間賞の走りでリードを広げ、そのまま逃げ切った。2位は倉敷とのアンカー勝負を制した九州学院。2時間5分以内を記録したのは7チームと過去最多で、入賞ラインも2時間5分9秒と過去最速。8位の加藤学園は初入賞した。

■ レース評

大会記録、新時代開く

2区1.8キロ付近で、後続を引き離す世羅の井上
2区1.8キロ付近で、後続を引き離す世羅の井上
 競技場に入っても後続のランナーが来る気配はない。それでも、世羅のアンカー・新迫は歯を食いしばってスパートした。「時計を見て(大会記録を)超えられると思った」。スピードを緩めることなく、ゴール直前で誇らしげにたすきを握った。「歴史に名を残せた。言葉にならないくらいうれしい」
 見えない相手との競走だった。4区を終え、仙台育英が大会記録を出した時のタイムから16秒遅れ。5区・山口が顔をしかめながら差を縮め、6区・植村も軽快に飛ばして逆に6秒上回る。「できるだけペースを上げた」と植村。前だけを見て走り抜いた。
 2009年以降、優勝は3度。いずれも留学生選手を置く3区でトップに立って逃げ切った。ただ、今回は中島が1区3位と粘り、2区の1キロ過ぎには井上が先頭に立った。区間新はゼロ。だが、4人の区間賞を含めて6人が区間3位以内。留学生頼みではない厚い戦力が快記録を引き寄せた。
 危機感がチーム力を押し上げた側面もある。前回優勝メンバー5人が残ったが、夏場はエースの新迫が不調に陥り、ケニア人留学生・カマイシは右足を故障。井上は「(2人に)頼ってばかりではなく変わらないと、と思った」。
 04年当時、2時間1分台の記録は「神の領域」と表現された。それから11年。記録更新に向けてチームを引っ張った新迫は言う。「(来年以降の出場校が)この記録を目指してくる。超せない記録ではない」。京都開催50年目。節目の年に、第1回大会を制した古豪が新たな時代の幕開けを告げた。【細谷拓海】

◎ トピックス

「ためて」制したラスト200 歴代3位の区間29分8秒 関颯人(1区)=佐久長聖・3年

 最後の力を振り絞って腕を振った。残り200メートルで八千代松陰の羽生を突き放し、区間賞を獲得。チームは前年の2位から二つ順位を下げたが、「個人としてはいい走りができた」と納得の表情だった。
 最初の1キロは2分50秒を切った。ハイペースの展開で、終始先頭集団につけた。上り坂が終わる7キロ付近で「下りが得意なので、自分のリズムで行ったら前に出た」。3人によるトップ争いから一度は抜け出すが、9キロ付近で再び羽生に追いつかれた。「予想以上にきつかったので、並走して足をためてもう一度」。冷静な判断が、切れのあるラストスパートを生んだ。
 1区の29分8秒は、日本選手歴代3位の好タイム。28分54秒の記録を持つ上野裕一郎(DeNA)、29分6秒の大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)は、ともに佐久長聖の先輩だ。
 「目指していた大迫さんの記録に届かなかったのは力不足」。手応えと課題を胸に、東海大でさらなる飛躍を期す。【野村和史】

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