男子第65回大会の記事

圧勝の世羅、黄金期

1位でフィニッシュする世羅の吉田圭太選手
1位でフィニッシュする世羅の吉田圭太選手
世羅(広島)が圧倒的な強さで3年ぶりに制し、優勝回数を最多タイの8に伸ばした。3区のカマイシが作った51秒のリードを最終的に倍以上に広げた。4区以降で伸び悩んで逆転を許し「留学生頼り」と言われた1年前に比べ、後半区間の充実が大会歴代4位となる2時間2分39秒の好記録を生んだ。
2006年に32年ぶり5回目の頂点に立って以降、3年連続で優勝を逃したことがない。優勝回数で並んだ西脇工(兵庫)は02年、同7回の小林(宮崎)は1978年を最後に優勝から遠ざかり、07年に7回目の優勝を果たした仙台育英(宮城)も部員の集団転校などがあって近年は低迷する。世羅は今年のメンバーにも1、2年生が計5人おり、黄金期はしばらく続きそうだ。

男子レース経過

世羅が2位に約2分の大差をつけて圧勝した。トップと18秒差の6位でたすきを受け取った3区カマイシが、2位に51秒差をつける2年連続の区間賞で先頭に。4区中島、6区井上も区間賞の走りでリードを広げ、後続を寄せ付けなかった。5区から2位争いをしていた佐久長聖と埼玉栄の決着はトラック勝負に持ち込まれ、佐久長聖の沢が残り300メートルで仕掛けて振り切った。秋田工はアンカー菅原が粘り、4位に食い込んだ。

■ レース評

世羅、圧巻リベンジ 前評判通りの力発揮

4区7.5キロ付近、独走する世羅の中島大就
4区7.5キロ付近、独走する世羅の中島大就
 後続は、はるか後方。それでも、世羅の4区・中島は最後の力を振り絞り、歯を食いしばりながらたすきをつないだ。「一歩でも差を広げれば、去年みたいなことにはならない」。チーム全体がかみしめる思いを体現する走りで、3区のカマイシが作った2位との51秒差をさらに49秒広げた。
 大会史に残る接戦となった昨年は1年生でアンカーに起用されたが、4校によるトラック勝負に敗れ、トップと6秒差の4位。長距離区間に移った今年は「自分の走りができればチームに貢献できるとわかっていた」。ペースをつかみにくい独走状態にもかかわらず、序盤から快調にピッチを刻み、「びびらずに突っ込めた」と満足げな表情を浮かべた。
 中島ら区間賞3人を含め、全員が区間6位以内。登録10人の5000メートル平均タイムが2位を10秒以上上回る選手たちが、前評判通りの力を発揮した。7区間で1秒ずつ速く走れば埋められたタイム差に泣いた1年前を振り返り、主将の笠井は「一人一人が去年の差を詰める気持ちで走った」。自身4度目の栄冠に導いた岩本監督は「今までで一番楽だった」と選手をたたえた。
 この日走った7人のうち、3年生は2人だけ。若いチームの向上心はあくことがない。「去年の悔しい思いを晴らせたかな」と笑った中島は「でも、自分としては(区間)22分台で走りたかった」。アンカーを務めた1年生の吉田は大会歴代4位の好記録にも「次は新記録が目標」と早くも1年後を見据えた。【野村和史】

◎ トピックス

悔しさバネに歓喜つかめ

 フィニッシュ直前まで4校が争う、大会史に残る大激戦から1年。世羅が雪辱を果たす一方、昨年のアンカー勝負で敗れた大牟田の鬼塚(2年)と伊賀白鳳の中畑(3年)は再び悔しさを味わった。
 1秒届かなかった鬼塚は7月、世界ジュニア選手権(米ユージン)に出場したが、5000メートルで16位に敗れ、海外勢との力の差を痛感した。その差を埋めるべく、今回は「花の1区」でなく、留学生が集まる3区を志願。だが、結果は区間13位で、チームも26位に沈んだ。
 2秒差で敗れた中畑は今回、右股関節の痛みなどで欠場した。強行出場もできたが、「将来ある選手」と語る中武監督と相談し、最後は自ら仲間に託した。3、5区の選手のサポートに回ったが、チームは10位と入賞も逃した。
 ただ、1年前の激戦は2人に少なからず影響を与えた。鬼塚は「あの1秒差の意味を考えて取り組んだ1年だった」。留学生相手に果敢に挑む気概は成長を感じさせた。都大路に来年出場するチャンスも残す。中畑は「悔しさを晴らしたい思いが強くて大事な時期に故障した」。それでも、調整の重要性を改めて学んだ。教訓は進学予定の強豪・東洋大で生かすつもりだ。
 悔しさを歓喜に変える舞台はこれが最後ではない。「あの日があったから」。そう語れる時がいつか訪れてほしいと願う。【新井隆一】

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