男子第61回大会の記事

【毎日新聞社紙面より抜粋】

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鹿児島実 初優勝

1位でフィニッシュする鹿児島実の高田康暉
1位でフィニッシュする鹿児島実の高田康暉

鹿児島実が2時間3分59秒で初優勝。鹿児島県勢の優勝は男女通じて初。九州勢が制したのは00年の大牟田以来。鹿児島実は4区の吉村(3年)がたすきを受けた時点でトップの世羅に1分14秒差の4位だったが、後半にスピードランナーを配した起用が的中。徐々に差を詰め、アンカーの高田(2年)が西京極競技場内のトラックに入って逆転した。

昨年優勝の世羅が6秒差の2位、九州学院が3位に続いた。

■ レース評

悲願 初V

逃げる世羅をトラックで鹿児島実がとらえた。鹿児島実は3区を終えて世羅と1分14秒差の4位だったが、4区の吉村が29秒差に詰めると6区の市田宏が区間賞の走りで14秒差の2位浮上。7区の高田が3.8キロ付近で世羅の後ろにつき、残り300メートルで先頭に立ち、フィニッシュした。世羅は3区・ディランゴが区間記録にあと1秒に迫る区間賞で9人抜き。2位・青森山田と36秒差のトップに立ったが、鹿児島実の総合力に屈した。

74秒差底力トラック逆転 市田兄弟と競い合い

世羅の大工谷(奥)を抜き、一気にスパートをかける鹿児島実の高田
世羅の大工谷(奥)を抜き、一気にスパートをかける鹿児島実の高田

トラック勝負の展開に、鹿児島実の誰もが勝利を確信していた。残り300メートル。屈指のスピードを持つアンカーの高田(2年)がギアを切り替えると、一瞬にして相手を置き去りにした。「20秒以内ならば仕留められると思った」と自信満々だったが、勝利の立役者は思わぬ名前を口にした。「強い4人の先輩も力を発揮したが、5区の下野がよくつないでくれた」

市田孝、宏の双子の兄弟、有村、吉村の「3年生カルテット」率いるチームの課題は明白だった。3キロと距離が最も短く、つなぎの区間と呼ばれる2区と5区をいかにしのぐか、である。最初の2区で不安は的中した。平嶺が区間37位と振るわず、3区で世羅との差は1分14秒まで広がり、上岡監督も「さすがに厳しい」と感じたという。

指揮官に再び優勝の可能性が見えたのが5区。1年の下野は「(2区のように失速する)不安があったが、やるしかない」と覚悟を決めた。下野は、逃げる世羅との差をわずか1秒縮めただけだったが、層の厚さを誇る鹿児島実にしてみれば、十分すぎる結果だった。続く市田宏が攻略の難しい6区を得意の上りで差を縮め、下りは「転がるように駆け下り」、射程圏内で7区の高田へ引き継いだ。

鹿児島実に集まった選手は、全日本中学選手権の3,000メートルでワンツーフィニッシュを決めた市田兄弟に全国制覇の夢を抱いた選手が多いという。アンカーの高田もその一人。普段から選手同士で激しく競い合う練習がここ一番で生きた。

【田原和宏】

◎ トピックス

留学生起用の妙味

大会規則で外国人留学生が1区を走れなくなった一昨年以降、男子では次に距離が長く、上りも続く3区に留学生を配すのが一般的。だが今回は仙台育英がワウエルを4区に起用した。

結果的に、ワウエルは「寒くてペースが上がらなくて」前半の動きが鈍く、区間賞は得たが1分9秒後方から追った先頭の世羅・渡辺に18秒届かなかった。

仙台育英の清野監督はレース後、「3区でも世羅や青森山田のように(大量リードに)ならない。ならば3区は佐藤で粘り、4区で少しでも上位へと考えた」と説明した。ワウエルはまだ1年生で走法も上りは不向き。08年春まで仙台育英を率いた渡辺高夫・前監督は「留学生もさまざま。皆がすごく強いわけじゃない」と苦笑いした。

だが、区間制限が決まった当時、渡辺前監督は「留学生は4区で使う方が1区や3区より勝負への影響が大きいのでは」と指摘している。留学生がリードを作る区間が後ろになるほどレースの残り距離、つまり他校の追い上げる余地が少なくなる、という発想。

一方、3区でディランゴが快走した世羅の岩本監督は、仙台育英の起用法について問われ「自分たちは自分たちのレースをするだけ」。選手起用の考え方は各校各様。そのぶつけ合いも駅伝の面白さだ。


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