男子第57回大会の記事

【毎日新聞社紙面より抜粋】

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世羅32年ぶりV

優勝のゴールテープを切る男子・世羅のアンカー中原大
優勝のゴールテープを切る男子・世羅のアンカー中原大

昨年2位の世羅が、2時間3分18秒で32年ぶり5回目の優勝を飾り、仙台育英の4連覇を阻んだ。第1回大会覇者の古豪・世羅は、先行する仙台育英を3区の鎧坂(2年)が一気にかわすと、4区清谷(3年)も区間1位の走りで逃げ切った。優勝回数5回は大牟田に並ぶ歴代5位。2位は史上初の4連覇を阻まれた仙台育英。3位は2年連続で豊川工。

■ レース評

世羅 沈着追走3区で一気

スタート直後から混戦の大集団を引き離し、トップグループを形成する4人の留学生たち
スタート直後から混戦の大集団を引き離し、トップグループを形成する4人の留学生たち

1区はケニア人留学生が飛び出した。世羅・ギタウ、仙台育英・ジェルによる先頭争いは、9キロ手前でスパートしたジェルに軍配が上がった。留学生による1区区間賞獲得は14年連続。ギタウが8秒差の2位。互いにけん制し合って集団を形成していた日本人選手は埼玉栄・中西の5位が最高だった。

2区以降は世羅、仙台育英の事実上の一騎打ち。動きがあったのが3区。18秒差でたすきを受けた世羅・鎧坂が首位を走る仙台育英・棟方を一気に抜き去り、逆に47秒差をつけた。さらに4区の清谷が区間賞の好走でリードを広げ、その後は堅実な走りで逃げ切った。タイムは全国大会歴代3位タイの2時間3分18秒の好記録だった。

仙台育英は差を詰められず1分7秒差の2位。豊川工は後半に追い上げて、前年と同じ3位。7位の一関学院、初入賞の8位・秋田工と、東北勢が健闘した。

世羅 平常心で雪辱 

3区5キロ過ぎ、仙台育英・棟方を抜き先頭に立つ世羅・鎧坂(右)
3区5キロ過ぎ、仙台育英・棟方を抜き先頭に立つ世羅・鎧坂(右)

「鎧坂、清谷が持っている力をよく出した。他の選手もよく走った」と岩本監督。レースのポイントは3区と4区だったが、勝利はチームの総合力があってこそ、と言いたかったのだろう。

2区まで仙台育英にリードを許す展開は昨年と逆。3区の鎧坂にたすきが渡った時点で、その差は18秒。2年生の鎧坂は「追いつける」と踏んだが冷静だった。レース前の岩本監督の指示は「リラックスして入れ。自分のレースをしろ」だけ。この短い言葉を消化した鎧坂は、最初の1キロはリラックスし、最後の2キロで引き離そうと考えた。

常連校らしく、チームでは沿道の1キロごとに部員を配置して、タイムを読み上げる。選手が自分のペースを測りやすくするためだ。京都入りしてすぐにその位置を確認している。

鎧坂は5キロ過ぎで仙台育英・棟方を捕らえた。「粘らないといけないのに粘れなかった」と棟方。161センチ45キロの小柄な鎧坂は、ライバルを捕らえると併走することなく、カモシカのように軽い走りで一気に駆け抜けた。ここで、流れが一気に世羅へと移った。

4区で待ち受ける主将の清谷は、後輩の走りに刺激を受け「自分がもっと差を伸ばそう」と区間賞の快走。1分31秒の大差で突き放し、4連覇を狙った仙台育英の渡辺監督に「(こちらは)1、3、4区に走力はあるが、人間の強さが未完成だった」と言わしめた。

昨年は4区で仙台育英に逆転され、2位に甘んじた世羅。清谷は「去年はギタウに頼りきりだった」という。全員が強くなるために、服装や掃除など生活態度からけじめをつけようと、部員同士で注意し合った。「速いチームより強いチームになることを目指してきた」。主将と監督が、勝因に挙げた言葉はいみじくも同じだった。

【三角真理】

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