男子第43回大会の記事

【「全国高等学校駅伝競走大会 50年史」(全国高等学校駅伝競走大会実行委員会・2000年5月発刊)より抜粋】

現在の校名・旧校名一覧

西脇工3回目のV

1位でゴールインする西脇工の梅田
1位でゴールインする西脇工の梅田

第43回大会は1区で14位と出遅れた西脇工が4区でトップに立つとそのままゴール。2時間5分12秒の高校歴代3位の好記録で2年ぶり3回目の優勝を飾った。レースは小雨まじりの中で行われ、西脇工と最下位校のタイム差は史上最短の11分1秒となり、高校長距離界のレベルアップを証明した。

また桐生工が出場14回目で初入賞を果たしたが、前回優勝の大牟田は、1区の出遅れが響いて14位。初出場以来8年連続入賞を目指した市船橋は19位だった。

■ レース評

1区は1キロ3分を切る死闘

1区から波乱に満ちた展開。1キロ3分を切るハイペースで進み、9キロを過ぎても7人が先頭集団を形成するレベルの高さ。残り300メートルで仙台育英・マイタイがスパートすると集団が一気に崩れ、十日町・小林雅がラストスパートを生かし1区を制した。優勝を狙う由良育英・中原はトップに6秒差の5位と好位置につけたが、西脇工は57秒差の14位。

2区は小林がトップに出て、由良育英が7秒差で迫った。3区では仙台育英・ジェンガが区間賞の好走でこの2校に割って入り、小林、仙台育英、由良育英が3秒差で続いた。西脇工は奥谷が6人抜きで首位と31秒差の4位に浮上した。

4区で西脇工・小島宗が区間賞。3.6キロで仙台育英、6.7キロで小林、残り800メートルで由良育英をかわしてトップ。勢いを得た西脇工は5区の小島忠も区間賞で由良育英との差を20秒に広げ、6、7区も区間3位とよく走った。

由良育英は6区魚住が区間賞を奪ったものの、2位。小林は全員が伝統の粘りを発揮して3位に食い込み、仙台育英はケニア2選手の好走を生かして4位に入った。

破顔の兄弟リレー

4区7キロ付近で、小林・和田を抜き、由良育英・矢崎に追いつく西脇工・小島宗(左)
4区7キロ付近で、小林・和田を抜き、由良育英・矢崎に追いつく西脇工・小島宗(左)

宿敵・報徳学園に前半大きくリードされた県予選。その流れと同じように敗戦覚悟の序盤戦となった都大路。だが、西脇工の選手たちは報徳との激戦を制した自信を胸に、一段とパワーアップした強さを見せつけた。

前半は県予選とそっくり、いやそれ以上の悪い展開になった。1区でトップから57秒差。ここで渡辺監督は「とても返せる差ではない。3位が精いっぱいだろう」と観念した。昨年も優勝候補に挙げられながら3区でつまずき、4区走者がそれを取り返そうとオーバーペースになり、かえって差が広がった。その二の舞いも予想された。

だが、県予選で同じ展開を経験した選手たちに焦りはなかった。3区で差を詰め、31秒差で県予選の大逆転の立役者になった4区小島宗にタスキが渡った。

小島宗はスタート直前、付き添いの部員に「トップに立つ」と言った。その言葉の裏には5区の弟小島忠への思いやりがあった。「昨年ぼくも1年生で5区を走り、不安でいっぱいだった。少しでも離して弟を楽にしてやりたかった」。ダイナミックな走りで最初からぐんぐん飛ばす。6.7キロで小林・和田をとらえ、残り800メートルで由良育英・矢崎を並ぶ間もなくかわした。約5キロにわたる和田との競り合いで体力を消耗していた矢崎にはもう抜き返す力はなかった。小島宗は2度ガッツポーズをし、満面の笑みを浮かべて弟にタスキをリレー。兄のリラックスムードは弟の区間賞の快走を引き出し、ここで勝負は決まった。

歴代優勝校の1区順位としてはワースト5にあたる14位。混戦模様の今大会では致命傷かと思われたが、「想像を上回る精神的安定感と粘り強さ」(渡辺監督)で克服した西脇工。勝負を決めた小島兄弟に、2区4位と好走した昨年の中学3,000メートルチャンピオン、石本が残り、来年も目の離せないチームになるのは間違いない。

【竹内 之浩】

◎ トピックス

仙台育英がアベック入賞

ケニアから入学した選手を擁した仙台育英が、男女アベック入賞。4位となった男子の二階堂監督は「子供たちがよくやってくれた」と初の入賞を喜んだ。エース溝井の故障で2区に起用された北浦は緊張から前日に39度の発熱。二階堂監督は「何とか県大会の記録(2時間7分3秒)だけは破りたい。順位のことは考えていなかった」という。だが、1区のマイタイから7位でリレーされた北浦は、区間21位ながら順位を一つ上げてジェンガへ、ジェンガが区間賞の走りで2位へ出て、入賞の足場をつくった。「うちはまだまだ経験不足。この成績が来年の励みになる」と、二階堂監督はさらなる飛躍を誓っていた。


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