男子第33回大会の記事

【「全国高等学校駅伝競走大会 50年史」(全国高等学校駅伝競走大会実行委員会・2000年5月発刊)より抜粋】

現在の校名・旧校名一覧

西脇工が接戦制し初V

1位でゴールインする西脇工のアンカー別府
1位でゴールインする西脇工のアンカー別府

大会史上まれにみる接戦の末、西脇工が八千代松陰をかわし、大会歴代2位の2時間8分46秒で初優勝した。折り返し点が一つに整備され、1区に約2キロの急こう配の上り坂が入るなど大幅にコースが変更された今大会。レースはアンカー対決となったが、西脇工・別府がラスト500メートルの競技場入り口付近で振り切った。

2位は八千代松陰、3位は小林。兵庫県勢の優勝は昨年の報徳学園に続いて2年連続3回目で、5位までが2時間10分を切ったのは初めて。2区で福岡大大濠・西村、4区で同・原、6区で西脇工・橋本が区間新記録を樹立するなどハイレベルな大会となった。

■ レース評

残り500でスパート

新コースで最大の難所となった1区は、登りにかかる5キロ付近まで世羅、保善、八千代松陰、秋田経大付など20校が先頭集団を形成した。登りで集団が崩れ、世羅・工藤が7.5キロから飛び出し、2位の日大東北に約40メートル差をつけ2区へ。西脇工・宮岡は12秒差の3位。しかし、西脇工は2、3区で後退し、4区の主将・仲西にタスキが渡った時は5位。1位の八千代松陰との差は1分8秒、約340メートル引き離されていた。

だが、仲西は力強いストライドで4位に浮上。5区・田中宏は区間賞の快走で2位に。6区の橋本がスタートを切った時は八千代松陰と約100メートル差だったが、徐々にピッチを上げて残り250メートルでとらえ、トップで7区へ引き継いだ。西脇工・別府、八千代松陰・千葉の1年生同士の並走が続き、陸上競技場に近づいた残り500メートルで別府がスパート、千葉を振り切った。西脇工は5区から3区間を連続区間賞で飾った。

雨中の悪条件だったが、1、2位が2時間8分台の好記録のうえ、1位と最後の47位とのタイム差11分28秒は大会史上最短。チーム力の底上げがはっきりと表れた大会だった。

度胸の1年生アンカー

大接戦をくり広げる西脇工のアンカー別府(右)と八千代松陰の千葉
大接戦をくり広げる西脇工のアンカー別府(右)と八千代松陰の千葉

雨中のレースを飾るにふさわしい7区の攻防だった。6区の残り250メートルで先行していた八千代松陰をとらえた西脇工は、約5メートル差をつけアンカーの別府へ。別府と八千代松陰のアンカー・千葉は同じ1年生。この2人は中学時代に3,000メートルの全国大会で2回顔を合わせ、2回とも千葉が勝っている。だが、現在の5,000メートルのベストタイムは別府が8秒勝る。ほぼ同じ力の持ち主と言えるが、ともにチームの初優勝がかかった大舞台でのアンカー勝負となれば、実力より精神力の勝負といえた。

500メートルほどで千葉が追いつき、以後ぴったりと並びながらゴールを目指す。まず、3キロ地点で千葉が仕かけるが、別府はあわてず食いつく。さらに五条通を右折した直後のゆるい坂で千葉がもう一度スパートしたが、別府のペースは乱れない。「2度もスパートして、いずれもダメ、5,000メートルの平均タイムは向こうが上だし、もうこれで力尽きた感じ」と千葉。

そんな心の動揺を見すかすように、今度はあと1キロ地点で別府がピッチを上げる。1~2メートル前へ出たが、千葉も食いつく。「すぐ追いついてきたので無理をせず、勝負はぎりぎりまで辛抱しました」と別府。陸上競技場の外側を回り、場内へのゲートをくぐろうとした寸前に別府がスパートすると、千葉の精神的スタミナもここで切れた。

渡辺公二監督は「3区では優勝をあきらめていた」という。4区へ中継した時点でトップ・八千代松陰との差は約340メートル。それを4区・仲西が区間2位の快走で盛り上げ、逆転に結びつけた。選手たちに焦りがなく、持てる力を十分に出し切った結果だが、それは昨年の覇者・報徳学園の勝因であり、今年の県大会、近畿大会でいずれも報徳学園に競り勝った選手たちの自信にほかならない。

【玉置 通夫】

◎ トピックス

新調優勝旗2人で返還

3月18日に報徳学園の体育館の火災で焼失した優勝旗に代わり、新しい優勝旗が12月1日に完成。縦80センチ、横120センチで周囲に長さ15センチの金色の房がついている。全体に約30%大きくなった以外はすべて焼失前のデザイン、色調を再現した。だが、報徳学園は県大会で2時間8分48秒の好タイムながら、西脇工に敗退。大会前日の開会式で、太田一夫主将が優勝旗、平山征志・次期主将が文部大臣杯を持ち入場行進。太田主将が一回り大きくなった優勝旗を返還した。

記録

3区間で区間新

2区・西村明雄(福岡大大濠)が8分19秒、4区・原秀幸(福岡大大濠)が24分24秒、6区・橋本康(西脇工)が14分49秒でそれぞれ各区間新記録を達成した。


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