女子第3回大会の記事

【「全国高等学校駅伝競走大会 50年史」(全国高等学校駅伝競走大会実行委員会・2000年5月発刊)より抜粋】

現在の校名・旧校名一覧

筑紫女学園初優勝

大会新記録でゴールインする筑紫女学園のアンカー月俣
大会新記録でゴールインする筑紫女学園のアンカー月俣

第3回大会は1区を制した筑紫女学園が3区で再びトップを奪い、その後は譲らず、1時間8分28秒の高校日本最高、大会新で初優勝を果たした。筑紫女学園は2年連続で1区を制した勢いを持続。

このほか2位の市船橋も含め、2校が1時間8分台に突入した。3位は埼玉栄、4位は宇治、5位は信愛女学園、6位は松陽が入った。また、11分を切ったチームは第1回4校、第2回9校、今回は11校と着実に増え、スピードアップを裏付けた。

■ レース評

筑紫女学園高校最高

筑紫女学園は1区に高校女子長距離界のホープ、宮崎を起用、序盤で他チームを大きく引き離す作戦に出た。スタート直後はスローペース。宮崎を集団で追う展開となったが、宮崎は徐々にスピードアップ。2区まであと1キロとなった上りで後続を引き離しにかかり、2位の西脇工・永井に8秒、約40メートルの差をつけた。2区でいったんは市船橋の水内にトップを奪われたが、3区に入ると後藤が区間新の快走で首位を奪い返した。4区は1年生の新田がリズム感ある安定した走りで2位以下との差を15秒に広げ、アンカー月俣が、市船橋の蛯江に迫られたが、慌てず後半に突き放した。

筑紫とは対照的に1、2区の走者の不振が大きく影響したのは優勝候補の筆頭とされた宇治。3区のエース川口にタスキが渡った時はトップから1分42秒、500メートル以上も離されて18位。3区川口、アンカー加藤の区間新の走りを生かせなかった。連覇を狙った群馬女短大付も出足でつまずいて11位。埼玉栄は3、4区の短い距離をうまくつなげなかった。

1区の貯金、最後は2倍

1区のエース宮崎が、できるだけ大きなリードをとる。後続の走者が計約15キロを守り切る。筑紫女学園は栄光への2つのポイントを実にスムーズにクリア、「先行逃げきり」の女子駅伝らしい強い勝ち方だった。

1区の宮崎は他校から徹底的にマークされていたが、最大のライバル、宇治の光畑が不調。4キロ過ぎから遅れだし、あっという間に100メートル以上の差がついて、筑紫にとっては願ってもないレースの流れになった。

宮崎の「貯金」を守るうえで、1つの不安材料は、4区を走る1年生・新田だった。予選は補欠。11月のジュニア・クロスカントリーリレーで3区区間賞を取り、18日のタイムトライアルの好記録が認められて大舞台に抜てき。「出られない先輩の分も走るつもりだった」と言う新田は、不安を吹き飛ばす好走をみせた。すでに宇治は圏外に去り、3区から市船橋とマッチレースの展開。走り出した時点で市船橋に40メートル差。市船橋の主将・桜木が前半飛ばして後半失速したのとは対照的に、新田は終始フォームが崩れず、桜木を引き離し、3年生との勝負に勝った。新田が桜木につけた75メートル差は大きかった。宮崎の「貯金」は最終区を迎えた時、ほぼ倍に増えていた。

「今年は宇治には勝てないと思っていたら勝てた。全員が120%の力を出せた」。指導歴22年ながら、監督としては1年目の河村監督は追う立場に回った気楽さを勝因に挙げた。宮崎をはじめ高校長距離界のトップ級をそろえた豪華布陣ながら、これまでなぜか、この大会では勝負弱かった。しかし、ようやく真価を発揮して、近くて遠かった全国制覇を達成した。

【堂馬 隆之】

Check